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5月、6月といえばお百姓さんは大忙しである。子供の頃6月といえば何家族かが共同で田植えをしていた。当時は耕耘機もなく牛に鋤を引かせていた光景を思い出す。 私は趣味と思って仕事の合間に診療室裏の家庭菜園で野菜などを育てている。この時期はタマネギとジャガイモの収穫が重なる。いずれも雨を嫌うので休日とお天気のタイミングを見計らう必要があるが、なんとかうまく収穫できた。どちらも良いできであった。
そしてさつまいもの植え付けと休む暇なしである。さらに4年ほど前に植えた南高梅が今年は多くの実をつけた。途中摘果をしなかったので実は小ぶりであったがかなり多くの実を収穫した。家に持ち帰ると家内が梅ジュースと梅ジャムを作ったが大変であったようだ。
4月の終わりに植えたナス。ピーマン・シシトウもやっと収穫時期になった。またキュウリは毎日2〜3本くらい取れる。残念ながらミニトマトはまだ青く収穫はもう少し先になるようだ。その他オクラやモロヘイヤ、生姜なども植えており少しずつ成長してきている。 しかしこの時期は草の成長が著しくあっという間に伸び出してしまう。3月に植えた大根・ほうれん草・小松菜の畝は収穫後ほっておいたら草だらけになった。どうにもならないので日曜日に草取りをしたら5時間も掛かった。 中学の同級生で兼業農家をしていたI君は会社を退職した後も米を作っていた。しかし昨年身体がしんどいので米を作るのは止めたと言っていた。先日彼に会ったとき田んぼをほっておいたら草だらけになった。しかし隣の田んぼは近所の人が米をつくっており自分の田んぼから草の種が飛んだりすると迷惑をかけるので休耕田の草取りをしたら腰が痛くなったとぼやいていた。 ところで昨年秋頃からお米の値段が上がって5Kg四千数百円〜五千円くらいになり以前の倍近くになった。お米が買えない、令和の米騒動などと新聞記事やTVニュースなどで取り上げられ、毎日のように報道されている。そして政府はいざという時のために保存している備蓄米を放出し出した。令和3年の古古古米まで放出し、さらに令和2年産の古古古古米まで放出すると発表している。 しかし備蓄米をそんなに放出してよいのだろうか?食糧安全保障という観点からすれば今、台湾有事となったとたん食糧は輸入できなくなり日本人の多くは1年も生き延びられないのでは無いだろうか。せめて米だけでも自給率100%にしたいものである。
ところで6月8日(日曜日)の中国新聞一面トップは『「コメ5キロ適正価格 消費者「2000円台前半」最多 生産者は「3000円台後半」』との見出しで全国19紙の合同アンケート調査結果が報道されていた。そして消費者、生産者たち農業関係者の意見が載せてあった。紹介方々引用させてもらう。 アンケートは5月9〜23日にLNEなどで呼びかけ7110人(うち広島県在住者686人)が回答した。そのうち消費者6346人(同631人)で、農業関係者はコメ生産者501人(同39人)、コメ生産者以外263人(同16人)だった。「適正」と考える5キロの店頭価格は500円刻みで尋ねた。消費者の回答で最も多かったのは「2千〜2500円未満」で全国の24.8%、広島県在住の26.9%が選んだ。農業関係者で最も多かった回答は、全国では「3500〜4千未満」32.7%を占めた。 価格上昇でコメを食べる頻度は消費者の3割強が「減った」とした。一方で、割安な外国産米の輸入拡大は農業関係者の73.7%、消費者の57.8%が「反対」した。広島県世羅町の会社員男性(58)は生産者の意欲が減退し、食糧自給率も下がると危惧する。・・・・そして33面には関連記事が掲載されていた。 そこには農業関係者の切実なる思いもよせられている。生産者達に共通するのは「労力を評価して欲しい」との思いだ。「茶碗1杯50円(5キロ3800円)くらいは出して欲しい」と望むのは三次市の農業男性(72)。「消費者が5キロ2千円台のコメを買っていたころ、農家は泣いていたんです」 廿日市の兼業農家の女性(58)は「楽でない上に採算は合わず、大規模農家以外は趣味だと思わなければコメは作れない。安くて当然という空気は悲しい」とこぼす。 肥料や燃料などのコスト高も直撃している。「5千円以上」が適正とした三原市の農業女性(70)は「高温、高齢、経費高騰」の三重苦だと嘆き、消費者に理解を求める。 さらに「日々の汗知ってほしいと 農家の思い」と題する取材記事も掲載されていた。 「5キロで2500円未満」でコメ作りを続けられるのか。農家の立場でアンケートに回答した東広島市志和町の橋本明さん(70)を訪ね本音を聞いた。「今まで2千円で買えとったから、そう思われるのは無理もない。でも、これまでが安過ぎたと思う」。橋本さんはそう受け止める。自身は、茶わん一杯で約50円となる3500〜4千円未満を『適正』とみる。妻康子さん(68)も「パンは1個何百円でも買われるのに、なぜコメだけは高いとされるんでしょうね」と首をかしげる。夫妻は「先祖伝来の土地を守ってほしい」と親から託された田など約70アールでコシヒカリを栽培する。堆肥を手作りして肥料代を抑え、苗も買わずに自前で育てるが、経営的には赤字が続く。重荷なのは農機具代。故障すれば二、三十万円の修理費がすぐに飛ぶ。買い換え時期には数百万円の出費がのしかかる。・・・今消費者に伝えたいことは・・。夫妻は苗を植えたばかりの水田に目を向け、声をそろえた。「稲は、日々の汗によって育っている。そのことをどうか知って欲しい」とあった。 僅かばかりの家庭菜園をしている私には痛いほど農家の人の気持ちがよく判る。私も趣味として野菜などを作っており採算度外視で収穫出来たものを口にするときの喜びで心を満たしているのが現状である。 世間では働き方改革とか、最低賃金、時給を上げるとか騒いでいるが自営農家の人には全く関係ない。農家の人の時給はネットなどで調べると「時給10円」と出ているのもあるが、農水省が公開している令和4年営農類型別経営統計(全農業経営体)によると農業経営体全体(大規模農家も小規模農家もひっくるめて)の平均時給は『379円』とあった。なお令和4年の最低賃金は961円であり、給与所得者などに比べ大きく下回っていた。 全く世の中から置き去りにされている感あり。ここを何とかしないと今後日本ではコメが作られなくなること必定の感あり。
2025年06月12日