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最近日本中の歯医者が泣いている。というのも我々歯科医師が保険で銀歯をつくる時、銀歯に使用する金属は厚労省によって決められており、それ以外の物を使う事は違反となる。また使用できる金属は12%金銀パラジウム合金と言われ、おおままかな配合スペックが決められている。その配合を見ると金12%、パラジウム30%、銀50%、銅が16〜17%、その他となっている。この合金の仕入れ値が急激に上昇してきている。その原因がロシアのクリミヤ併合である。

12%金銀パラジウム合金に使われるパラジウムとは貴金属の一種で、自動車等の排ガス触媒向け需要が70%を占めているが、虫歯を削った跡に詰める金属にも使う。日経新聞によると2013年は200トン生産され、生産量は首位のロシアが40%、南アフリカ共和国が37%を占める。排ガス対策のプラチナ金属からの代替えが進んでおり世界需要は300トンと言われ、完全に供給不足である。
一大産地の南アフリカ共和国で労働条件をめぐって1月下旬から鉱山ストライキが始まり、我々が購入する金銀パラジウム合金も徐々に値上がりをしてきていた。ストの解決の目途が立っていない所に今回のクリミヤ併合である。
ロシアがクリミヤを併合した事により欧米が経済制裁を加える中で、ロシアが対抗策としてパラジウムの供給を減らす懸念が出て来た。このため3月26日以来、我々が購入する金属の仕入れ値が一段と上昇してきた。それに円安傾向も重なりかなりの金額となっている。およそ10年前ころは30gが12,000円程度であったものが最近は35000円近くの時もある、およそ3倍近い値になっており、金属購入だけでも資金繰りを考える必要がある。
ところで、仕入れ値は上がるが私達が患者様に提供する場合、銀歯1個いくらと厚労省が値段を決め、全国一律の統制価格である。そのため高額の金属を使用して造ったとしてもそれを患者様に転嫁できない仕組みである。赤字の銀歯が最近増えてきている。
一応ルールとしては半年ごとに見直すことになっているが、見直した日に値段が上がってなければ変わらない。よほどの急激な値上がり率でない限り変わらない、徐々に上がっていく分には関係ないのである。ここ2年間は変化なし。
南アフリカの鉱山ストは6月12日に解決のめどがたったと発表されたが、生産が元に戻るのに3カ月くらいはかかるらしい。
さらに我々が使用する金属には金もあり、これも最近では1グラム4500円程度と高止まりをしている。この様な情勢を考えると、金やパラジウムを使う銀歯で治す治療はそろそろ終わりにしないといけないと思う。しかし保険で治療を希望される場合他の材料を使おうとしても制約が多いのも事実である。
とりあえず価格が安値安定してくれることを希望する。
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